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【広島市】S-KYT研修を実施して


広島市消防局消防団室
谷口 優輔

私ども広島市消防団は、広島市の各行政区に設置された8消防団84分団で組織され、地域防災力の中核としての自覚を強く持ち、市民の安全・安心を確保するため、様々な活動に取り組んでいます。

取組みの大きな骨組みとして、本市消防団では「広島市消防団活性化計画」を平成26年に策定し、訓練・研修の充実を図る中で、県消防学校の消防団教育に消防団員を派遣するとともに、それとは別に、毎年、広島市消防局消防団室主催の消防団員研修として、階級別に初級幹部(部長、班長)、中級幹部(副分団長)、分団長以上に分けて、それぞれ研修を実施しています。

新型コロナウイルス感染症が流行する前までは、この消防団員研修に毎年のように消防団員等公務災害補償等共済基金から講師をお招きして、様々な研修を実施していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響でここ2年間は、外部講師をお招きしての研修を実施することができませんでした。

しかし、今年度に入り、ようやく新型コロナウイルス感染症の行動制限もなくなり、感染状況も落ち着いていたことから、去る2022年7月31日に広島市消防局において初級幹部研修を開催し、消防団員等公務災害補償等共済基金から山下聰氏、瀨川巖氏、石田圭三氏の3名を講師にお招きし、S-KYT(消防団危険予知訓練)研修を実施いたしました。

講義風景

新型コロナウイルス感染症が流行する前までは、消防団員研修の各研修は広島市総合防災センターで実施をしていましたが、平常時に防火管理講習や自衛消防業務講習などの会場として使われている場所で、新型コロナウイルス感染症対策として机そのものに飛沫防止版が備え付けてあり、この度実施したS-KYT研修のようなグループワークには適さなかったため、場所を広島市消防局の講堂に変更し、さらには受講者全員がフェイスシールドを着用しての研修となりました。

S-KYT研修における基礎4ラウンド法では、班員全員でイラストシートの状況についてどのような危険が潜んでいるかを書き出し、その中から重要と思われる危険のポイントに対して、具体的で実現可能な対策を考え、班としての目標として設定します。

本市消防団では、過去に、大雨対応中に消防団員の殉職事案が発生していることを踏まえ、水防活動に係るテーマにしようということで、イラストシートのテーマを「土のう積み」に設定し、当日は部長又は班長の消防団員(45名)が参加しました。

班発表

当日、講師としてお越しいただいた山下聰氏、石田圭三氏は、広島市消防局ご退職後に、瀨川巖氏は、神戸市消防局ご退職後に、消防団員等公務災害補償等共済基金においてS-KYT指導員を務めておられる方々で、お三方とも大変経験豊かな方でした。

研修の中で各班の指導をされる中で、安全管理員を置いた場合の退避命令の伝達方法についての質問があった際には、実体験をふまえ最善の方法を受講生に伝えるとともに、研修の最後には受講生全体にその質問について解説をしていただきました。

また、受講者アンケートの「当日テーマとして取り上げた水防時の内容だけでなく、小型ポンプなどのテーマについても研修を受けたい。」「半日ではなく、丸一日かけて研修をやってもらいたかった。」などの記載からも、この度の研修がとても受講者に対して意義深い研修であったかがわかります。

女性消防団員からは「女性隊は災害現場に行く機会は少ないが、日頃から危険を予知しながら行動することはとても大切なことだと感じた。」という声もありました。S-KYT研修の良いところはこの声にも現れているように、消防団活動はもちろんのこと、何気ない日常の場面においても、活用できることだと感じています。

研修の中でもありましたが、消防団員の公務災害はそのほとんどが予防できるものです。さらに、日常の場面においても「危険」が潜在しているかもしれないと少し意識するだけで、怪我の防止につながります。今回のような研修を通じて、各消防団員の意識を変え、消防団員の怪我や病気を予防し、各消防団員がしっかり活動できることも、市民の安全・安心を確保につながると考えています。

本来であれば、全消防団員に聴講してもらいたい内容ですが、それは現実的ではないので、受講者が内容を持ち帰り、今後の活動においてしっかり活用するとともに、次年度以降もできれば消防団員等公務災害補償等共済基金から講師をお招きし、S-KYT研修を実施していきたいと考えています。

新型コロナウイルス感染症による行動制限もなくなり、今年度はいろいろな行事が本格的に再始動しています。通常の現場活動に加え、訓練の機会も増えてきていますが、この度のS-KYT研修の内容を活かし消防団員の公務災害をゼロにできるよう、引き続き消防団活動に取り組んで参ります。

指差し呼称

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