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【秋田市】消防団員セーフティ・ファーストエイド研修(Bコース)を実施して


秋田市消防本部警防課消防団担当
佐 藤 良 和

秋田市消防団は1本部5方面隊32分団で組織され、地域防災の中核として市民の安全安心のため日々活動しています。

本市では、ポンプ操法の技術レベル向上のための訓練はもとより、常備消防との連携訓練を企画実施し、現場でお互いの顔が見える関係づくりなど、これまでの取り組みによって活性化した分野をさらに発展させるとともに、大規模災害時における非常備消防力の運用等、新たな視点から消防団のさらなる活性化と機能強化を図ることを目指してきました。
平成30年からは、そのための検討を重ね、令和2年3月に「消防団との効果的な連携のあり方に関する検討会報告書」をまとめるなど、諸課題を消防団と常備消防が一体となって検討し、効果的な施策の実現につなげることを目的として活動しています。同時に各種研修を開催し消防団の充実強化に努めています。

消防団員の災害時のメンタルヘルスについては、東日本大震災の被災地の消防団員に多くのストレス症状が見られたことが知られています。
秋田県でも、令和元年度の全県消防団長研修会において、自然災害で行方不明になった住民の救助活動等に従事した消防団員が、食欲不振や睡眠障害、突然涙が出る易刺激性などの惨事ストレス症状を発症したことが報告され、メンタルヘルスケアについて問題提起がされました。また、焼死者が発生した火災に出動した本市の消防団員から「遺族に対し、消防団員として、どのように対応したらいいかわからない。」との声が聞かれ、ストレスを感じる状況が発生していたことを知り、災害時のメンタルヘルスの知識の必要性を認識し、令和4年10月30日、秋田市南部市民サービスセンターにおいて消防団員88名を対象に新型コロナウイルス感染症対策を講じて研修を開催しました。

当日講師としてお越しいただいた清水徹男氏は、秋田大学を教授としてご退職後に秋田県精神保健センター所長となられ、消防団員等公務災害補償共済基金の消防団員セーフティ・ファーストエイド研修において、災害時のメンタルヘルスケア等に関する講師を務めておられる大変に経験豊かな方でした。

講義中の清水徹男氏

研修の中では、被災後に生じるメンタルヘルスの問題は、被災者のみならず、支援者となる消防団員を含め、その災害に関係したすべての人にかかわってくると強調されていました。また、子どもによく見られる反応、行動や、高齢者、乳幼児など特別な配慮が必要な人々について具体例を示してわかりやすく解説していただきました。
消防団員を含む支援者にもさまざまなストレスが発生すること、ストレスによる具体的な反応例の説明、支援者のストレス対処法(セルフケア)や対策も教えていただきました。ただ、セルフケアには限界があり、組織として体制を整えることが重要であることをわかりやすく解説していただきました。
それらのお話を聴き、人々の精神的回復力を促す方策として示された、「見る・聴く・つなげる」などの心理的応急処置の知識は、日常の場面でも活用できることだと感じました。日常生活においてもさまざまな心理的影響を受ける可能性があることを少しでも意識するだけで、メンタルヘルスケアにつながるとのことでした。
研修の後半では、受講者から、この研修を行うきっかけの一つとなった、火災現場の件で質問がありました。講師からは具体的な対応例と注意点の説明があり、受講者全員がうなずく場面が見られました。

精神科医療および精神保健活動の支援を行う専門的なチーム(災害派遣精神医療チーム:DPAT)についても教えていただきました。
自然災害や航空機・列車事故、犯罪事件などの大規模災害等の後、このDPATというチームが被災地に派遣され、被災地域の自立・自助を促す支援活動を行い災害時にストレスを受けた人々をすぐに専門家につなぐ体制があることを知ることができました。

講義受講風景

終了後には、「研修が大変役に立った」という意見や、今回は5方面隊のうちの1方面隊を対象に行いましたが、「他の4方面隊でも開催した方がいいのではないか」といった意見が寄せられ、多くの団員に伝えたい内容であるとの声が届いており、とても好評でした。
また、消防団員等公務災害補償等共済基金が行う安全管理セミナーやS-KYT研修を開催してほしいという声も多数あったことから、今後、それらについても実施を検討していきたいと考えております。

消防団員は職務上、災害時のストレスに否応なくさらされる可能性がありますが、今回のような研修を通じて意識を変え、メンタルヘルスを良好に保ち、各消防団員が市民に寄り添った活動ができるようにすることが、市民のさらなる安全安心につながるものと考えています。
近年、災害が多発化、激甚化していることから、地域防災力の維持向上のために、その中核である消防団員には様々な現場での活動が期待されており、それに応えるためには、各種研修・訓練が必要不可欠となります。
秋田市消防団は、今後も積極的な活動を目指すとともに、この度の研修を活かし、心的ストレス障害を含めた公務災害をゼロにできるよう、引き続き取り組んでまいります。

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