コラムColumn

  1. ホーム
  2. コラム
  3. 【宮津市】消防団員安全管理セミナーを実施して

【宮津市】消防団員安全管理セミナーを実施して

宮津市消防団長
宮津市消防団長
中 村 尚 志

宮津市消防団がある京都府宮津市は、日本三景の一つである『天橋立』で知られる観光都市です。日本海に面する府の北部に位置し、四季折々の美しい景色と豊かな海産物・農作物を始め、寺社、かつての城下町や北前船の寄港地を偲ばせる町並みは、国内外問わず多くの人を惹きつけています。

本市消防団は、団本部と7つの分団で組織され、地域防災の要として、日々宮津市民の安心安全のために活動しています。
消防操法大会には力を入れており、京都府では常にトップ争いを演じ、全国大会出場も常連となっています。
また、操法技術の向上だけでなく、現場に即した火災想定訓練、自衛消防隊や常備消防との合同訓練も計画的に実施しており、現場でお互いの顔が見える関係づくりなど、これまで築いてきたものを発展させるとともに、複雑多様化している災害への対応強化を目指しています。

全国的な消防団員の減少と同様に、本市でも消防団員の確保は困難となっています。しかし、地域防災力の充実強化を考えると消防団員の確保は極めて重要であります。
そのような状況から新たな消防団活動を模索しており、初めての取組として、感染対策を講じた上で消防団員安全管理セミナーを開催しました。

セミナーは、令和5年2月18日に、消防団員等公務災害補償等共済基金から一本木正行氏を講師にお招きし、消防団員約70名が受講しました。
一本木氏は京都市消防局ご退職後に、消防団員等公務災害補償等共済基金においてS-KYT指導員を務めておられる大変経験豊富な方で、様々なデータを引用して公務災害の発生状況を説明していただき、その予防策についてご教示いただきました。
また、公務中だけでなく、食事、運動等の日頃の生活習慣の見直しの重要性についても説明していただき、「健康増進も消防団員の努め」という言葉からは、消防団活動以外の日々の生活の見直しも必要であると感じました。

講義風景1

セミナーの中で、消防団員の公務災害は、訓練中の負傷が極めて多く、特に操法訓練はタイムを意識することもあり、身体に無理が生じ負傷してしまう事例が非常に多いと伺いました。本市でも操法訓練中の負傷が多くなっています。操法の技術を身につけることと並行して「全団員が安全に訓練を実施していくにはどうすればよいのか」ということ、それは全消防団共通の悩みであると思います。

本セミナーを開催するに当たっては、より多くの団員が出席できるように、事前に分団長に日程調整を依頼し、消防団活動の基本である安全管理について学ぶ貴重な機会ととらえ、特に幹部団員の聴講を呼びかけました。それぞれが仕事を抱える中、自身の時間を割いて予想以上に多くの出席者があり、積極的な姿勢での受講ができました。
終了後には、「大変役に立つ研修会だった」、「幹部団員のみでなく、一般団員も受講するべき」といった意見が寄せられ、より多くの団員に伝えたいものでした。出席者は各分団に内容を持ち帰り、新たな視点で安全管理をし、今後の活動に活用していくこととしております。
セミナーの中でのお話によれば、消防団員の公務災害はそのほとんどが予防できるものです。さらに、日常生活においても危険が潜んでいるかもしれないという意識を持ち、その危険を排除するにはどうすべきか、と考えるだけでも公務災害の防止につながります。消防団員の意識が変わることで、怪我や病気の予防にもつながり、より安全に活動できることは市民の安心安全に直結するものと考えます。本セミナーを機に、幹部団員を中心に、より一層気を引き締め、消防団活動において公務災害を起こさないという決意を新たにすることができました。

講義風景2

消防団員は、奉仕の精神で地域防災に従事するかけがえのない存在であり、団員の安全を守ることは、自分たちの町を守ることにつながります。
今回のセミナーを受講して、団員の公務災害を防ぐためには、まず幹部がしっかりとした安全哲学を持ち、地道な努力を重ねてゆく必要があると感じました。その責任の大きさに改めて身の引き締まる思いがしました。

消防団活動は非常に重労働で、危険が数多く存在する環境下で遂行されます。「だから事故が多いのは当たり前」と考えることは安全対策の放棄です。ただ、災害現場で消極的な行動をしていては任務を遂行できません。
ようやく新型コロナウイルス感染症による行動制限もなくなり、消防団の行事も本格的に再始動し、皆意欲を持って活動しています。同時に、ここ数年間の訓練不足や、現場経験が少ない新入団員等がいる状況から、公務災害が発生する可能性が高い時期でもあると思います。
事故は人間(Man)、機械(Machine)、環境(Media)、任務(Mission)そして管理(Management)の5Mの要素の不適合によって起きると言われています。消防団活動で5Mに相当するものは、「健康・体力」、「機械・器具」、「教育・訓練」、「指揮命令」、「安全の雰囲気」の5つと考えられます。この5Mを強く意識し、今後の消防団活動に活かしていきます。
また、事故防止の具体的な知識を身につけるため、一本木講師からも開催をお勧めいただいたS-KYT研修についても今後前向きに開催を検討し、より良い消防団活動に取り組んで参ります。

PAGE TOP