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公務災害防止

公務災害防止対策調査研究事業

ここでは、消防基金が公務災害防止事業の充実強化のために行ってきた調査研究を紹介します。

【令和元年度~】消防団員向け負傷防止プログラムの開発

順天堂大学との共同研究で、演習訓練中の負傷を防止する運動プログラムを開発

消防基金は、順天堂大学との共同研究により、演習訓練中の負傷を防止するためのエクササイズ等からなる負傷防止プログラムを開発し、この動画を令和4年3月から動画ページで公開しています。

負傷防止プログラム動画1

(右上のQRコードからも動画を御覧いただけます。)

開発の背景と目的

当基金では、消防団員に最も多く発生している公務災害を防止していくことを目的に、保有している公務災害データのうち3か年(平成29年度から令和元年度)の支払実績3,499件を基に公務災害の発生状況を調査・分析しました(※1)。その結果、ポンプ操法訓練中に下肢の負傷が多く発生していることが判明しました。
また、当基金の調査研究において、ポンプ操法訓練の動きはスポーツの動きに類似しているため、医学経験則上、アスリートが実践しているようなスポーツ医科学的な防止策は、その効果が期待できる対策であることが判明しています。つまり、スポーツ医科学の知見を取り入れた対策が、演習訓練中の負傷の防止策として導入すべきものであると考えられます。

当基金で平成30年度にとりまとめた『消防団員公務災害防止取組事例集』では、理学療法士やスポーツトレーナーといった専門家の指導や助言に基づき演習訓練中の負傷の防止に取り組んでいる消防団の一部を優良事例として掲載しました(※2)。
また、消防吏員もアスリートが実践しているようなトレーニング・ストレッチを導入しています(※3)。こういった先行取組は非常に有効であると考えられます。一方、消防団によっては時間的・財政的な制約があるなどの理由で、これらの取組を導入することが困難な側面もあると聞き及んでいます。

そこで、当基金は、スポーツ医科学の国内有数の研究機関である順天堂大学との共同研究により、アスリートが下肢等の負傷防止のために行っているエクササイズを多くの団員が短時間で簡単に行えるよう改良させた、消防団員向け負傷防止プログラムを開発することとしました(※4)。更には、制約があるような消防団でも簡単に導入できるよう当該プログラムを動画とし、インターネット上で一般公開しました。

※1 表1~6(PDF)
※2 美濃加茂市消防団・福山市消防団の取組事例(資料1・2、PDF)
※3 東京消防庁「受傷事故防止のための筋力トレーニング&ストレッチ要領」(一部抜粋、資料3、PDF)
※4 負傷防止プログラム ペーパー版(資料4、PDF)
(備考)詳細は「演習訓練中の負傷の防止策に関する調査研究結果について」(PDF)による

プログラム動画の内容
負傷の原因や予防の知識を得るための「解説編」

ポンプ操法の動きはスポーツの動きと類似していることから、負傷の原因や予防に必要な知識について、日本オリンピック委員会専任ドクター等を歴任されたスポーツドクターが、わかりやすく解説しています。

負傷防止プログラム動画2
訓練の前に行うための「ウォームアップ編」

最新のスポーツ科学では、これまでのウォーミングアップでしばしば見られた静的ストレッチはウォーミングアップとしての効果が比較的低いとされています。そこで、相対的に効果が高いとされている動的ストレッチの中から短時間で簡単できるものを中心に紹介しています。

負傷防止プログラム動画3
ちょっとした空き時間に行うための「トレーニング編」

日頃からトレーニングを積むことが大切なことから、自宅で空き時間に簡単にできるトレーニングを紹介しています。

負傷防止プログラム動画4
今後の展開について
【導入促進】

消防団員向け負傷防止プログラムの導入を促進させるために、当該動画を周知するポスター・リーフレットを作成することとしました。
なお、ポスター・リーフレットは、関係各所へ送付する予定ですが、各種ダウンロードページからもダウンロードできます。関係各所におかれては、これらを御活用ください。

負傷防止プログラム リーフレット

(クリックすると画像が拡大されます。)

【効果検証】

令和4年度には負傷防止プログラムを実践していただいているモデル消防団等の御協力のもと、当該プログラムの効果検証を行い、令和5年度には報告書を作成する予定です。

【平成30年度】消防団員公務災害防止取組事例集

消防団員の公務災害を防止するため、各地の消防団で様々な取組が実践されています。

例えば、広島県福山市消防団では、ポンプ操法訓練で故障者を出さず、操法大会にベストな状態で出場できるようにするため、スポーツトレーナーのアドバイスを受けて体幹トレーニングやストレッチなどを取り入れた身体づくりを行っています。事例はこちら

fukuyamashisyouboudan.png

また、長野県下伊那郡喬木村では、消防団員の生活習慣病を予防するため、消防団事務局と保健福祉課が連携して、法定健診(定期健康診断)より詳細な項目で健康診断を実施し、その結果を踏まえて保健師や栄養士が消防団員に個別に健康指導を行っています。事例はこちら

takagimurasyouboudan.png

消防基金では、平成30年度において、このような各地の消防団が日頃の消防団活動の中で実践している公務災害防止のための取組事例を収集し、その内容を分類・整理した上で、その中から消防団員の公務災害防止に大きな効果が期待できる取組事例であって、かつ、他の消防団でも容易に導入できる取組事例を選定するとともに、その取組内容を取りまとめた「消防団員公務災害防止取組事例集」を作成し、市町村等の消防団事務担当者や消防団幹部に向けて約4,000部を配付しました。

既に消防団で実践されている公務災害防止の取組を紹介することで、公務災害防止対策を企画・立案する際の参考としてもらうことを狙いとしています。消防団員公務災害防止取組事例集

このため、各事例の紹介に当たっては、写真や参考資料なども用いてできるだけわかりやすく説明することを心掛けるとともに、「事務担当者からの引継」のコーナーを設けて事業化・予算化に向けてのスケジュールや作業内容などのノウハウを伝えてもらうなど、ハウツー物として使用することができるように工夫を凝らしています。

市町村等におかれては、この事例集を活用していただき、消防団員の公務災害防止対策の導入・定着を図られるようお願いします。

【平成26~29年度】消防団員の公務災害防止~食事による高血圧症などの予防のために~

消防団の皆さんは、頻発する自然災害に立ち向かい、住民の避難誘導、救助、消火、水門閉鎖、警戒などの活動をされています。また、日頃の備えとして日々の生業のかたわらで厳しい訓練にも励んでおられます。これらの活動には、地域に密着し、地域の実情を把握されていることが何より大切で、地域に住まれ、自分たちの「まち」を守る消防団は無くてはならない存在です。消防団の「使命を果たす」ためには、消防団員一人ひとりが十分活動できなければなりません。もちろん体力に個人差があるのは当然のこととして、その持てる能力をいかんなく発揮されることが大切です。

しかしながら、過去の「消防団員の健康状態に関するアンケート」(平成9年度と平成26年度に実施)をみると、消防団員の方々の健康管理や健康増進が十分であるとは言えない状況が散見され、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などの症状を改善されないでいる傾向もうかがえました。これらは重篤な疾病である脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)や虚血性心疾患(心筋梗塞)を発病させる原因といえるもので、消防団の「使命を果たす」妨げにもなります。火災や水災の災害の際はもとより、このような疾患により、操法大会のための訓練途上で公務災害に遭遇される事例は後を絶ちません。そして何より、これらの重篤な疾病を発病されて不幸にも死に至られれば、ご家族、知人などの悲しみは計り知れません。

本調査研究では、消防団を管轄される皆様方が、無理なく消防団員の健康増進(疾病予防)に取り組んでいただきますよう、先進事例の紹介などをしておりますので、是非消防団員の公務災害防止のために参考としていただければ幸いです。

【平成16・17年度】消防団員の個別健康指導体制の在り方に関する調査研究委員会

脳卒中、心筋梗塞など、消防団員の循環器系疾患による公務災害の発生が後を絶ちません。過去の殉職者数の中でも大きな割合を占めています。
消防団員を特別職地方公務員として任用する市町村長は、消防団員の健康状態を把握し、消防活動によって発症させたり悪化させたりしないよう配慮しなければなりません。これを「健康配慮義務」といいます。消防活動の現場を預かる消防団の上司や団事務局には、消防団員の健康に対する配慮が強く求められます。しかし、多くの消防団にこうした認識がないのが実情です。
このような状況を改善するためには、消防団員の健康管理の必要性について管理者側に意識啓発を図るとともに、生活習慣病等のリスクを抱えた消防団員に対して、市町村が個人ごとに健康指導を継続する体制の整備が重要だと考えます。
本委員会は、市町村における個別指導体制の在り方について検討を行い、基本モデルをまとめました。市町村においては、本報告書に記載するモデルを基に、地域の特性や実情に応じて工夫を凝らしながら、消防団員の健康管理を実践していただきたいと考えています。

消防団員の個別健康指導体制の在り方に関する調査研究報告書(抄)PDF

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